盲導犬情報 第3号(1994年10月)   編集・発行 盲導犬情報室         京都市右京区常盤段ノ上町2 (財)関西盲導犬協会内         電 話:075(881)4618         FAX:075(881)1224   1994年10月31日 発行   内容 地方自治体が行っている盲導犬育成事業について 施設紹介(2)・・・・・・・・・・・・・・・・東京都渋谷区  日本盲導犬協会 東京都練馬区  アイメイト協会 トラブル後の対応は?      −盲導犬使用者がバスを利用しようとしたとき起きたこと− 盲導犬の需要等に関する調査報告(3) 盲導犬情報ボックス   日本の盲導犬使用者数 全日本盲導犬使用者の会準備会からのお知らせ 編集後記     地方自治体が行っている盲導犬育成事業について  昭和54年 6月に厚生省社会局長が「障害者社会参加促進事業の実施について」という通知を出しています。「在宅身体障害者の社会的生活能力の向上を図るとともに、その社会活動に必要な援助を行うことにより、在宅身体障害者の社会活動への参加と自立を促進することを目的」とした事業の中の、「視覚障害者のための事業」の5番目に「盲導犬育成事業」というのがあります。「盲導犬の育成に要する費用を助成し、重度視覚障害者の就労等社会活動への参加を促進することを目的」とし、「都道府県及び指定都市」が「盲導犬の育成に要する経費について予算の範囲内において助成するものとする」と記してあります。  また、厚生省は、「障害者の明るいくらし」促進事業の充実の一環として、平成10年を達成年として、年間480頭の盲導犬の育成を目標設定し、新長期計画を策定しました。  そこで、各都道府県と政令指定都市、合わせて59の地方自治体に対して、盲導犬育成事業実施の有無とその内容について、尋ねてみました。今年 3月までに郵送による回答を求めた結果、51の自治体から回答がありました(回収率86.4%)。  回答のあった51自治体の内、「盲導犬育成事業を行っている」と答えたのは、42自治体でした。また、回答のなかった 8自治体のうち、7自治体が実施しているとの情報を得ましたので、全自治体の実施率は、83.1%となります。  その実施内容ですが、委託契約という方式と補助金交付という方式があります。委託契約とは、年間に1頭〜数頭の盲導犬の育成を施設に委託する、というもので、26自治体が実施しています。委託頭数が最も多いのは、東京都で年間10頭。また、栃木県・埼玉県・長野県は、年間 4頭を委託していますが、他の22自治体は、1頭〜2頭を委託しています。どこに委託しているかについては、ほとんどの自治体が既に委託先を限定しており、その場合、盲導犬希望者が自分で指導を受ける施設を選ぶことは、ほとんどできません。「視覚障害者が希望する施設に委託する」と回答のあった自治体は、2自治体のみ。また、1自治体は「委託の都度決定する」と答えています。  一方、補助金交付とは、盲導犬訓練施設等に対して、運営費または育成費を補助するもので、16自治体が実施しています。その内、9自治体が盲導犬訓練施設に補助金を交付しています。また 1自治体は、各市町村に交付する方式をとっています。残りの 6自治体は、盲導犬普及団体(訓練施設をもたない盲導犬協会等)や視覚障害者団体に交付しています。愛知県は、年間 5頭分の育成費補助を行っており、他には、札幌市・富山県・福岡県が 4頭、石川県が 3頭、あとの8自治体が1頭〜2頭となっています。  こういった委託・育成補助の対象となっている年間頭数は、80頭。委託・育成の1頭当りの単価は、最高額が約211万円、最少額が80万円、平均としては約150万円になっています。  また、その他の助成施策として、  1.狂犬病予防法に基づく飼犬登録手数料・予防注射料等の減免  2.それ以外の盲導犬の診察費・薬代の助成  3.餌代の助成  4.訓練にかかる旅費等、取得にかかる費用の助成  5.犬舎等飼育用品の購入費用の助成 といったことを10自治体が行っています。ただし、この 5項目のすべてを実施しているのではなく、多いところで 3項目、6自治体が 5項目の内のどれか 1項目のみを実施しています。一番多く行われているのは、予防注射等の減免措置で 7自治体が行っています。また、盲導犬の医療費については、横浜市だけが「全額を助成している」と答えています。  ところで、創刊号からずっと報告を続けている、「盲導犬の需要等に関する調査」の中で、盲導犬を使用していない526名に対して、「盲導犬給付事業を行っている地方自治体もありますが、行政の盲導犬育成事業に対する取り組みについて、どのように評価されますか?」という設問があります。その結果は、次のようになりました。   わからない 43.3%   今の施策では不十分である   37.0%   今の施策で十分である 5.9%   どうでもよい     0.8%   盲導犬育成に関する施策は必要ない  0.6%  「わからない」と答えた人が半数近いことから考えても、行政がどのような形で盲導犬給付事業を行っているのか、知らないままの人は多いのではないでしょうか。  住んでいる地域によって受けられるサービスの内容が違っています。少なくとも自分の住んでいる自治体がどういった事業を実施しているのか、正確にしっかり知っておきたいものです。また、他の地域の状況を知っておけば、それぞれの自治体に対してどのような取り組みが望まれるか、ということも具体的になってくるのではないでしょうか。しっかり現状を把握して、上手な制度の利用、あるいは適切な要望をしていきたいものです。     施設紹介(2)  財団法人 日本盲導犬協会     事務局)〒151 東京都渋谷区西原1-30-7 マイコア1F         TEL:03-3460-6211 FAX:03-3460-6262     茅ヶ崎訓練所)〒253 神奈川県茅ヶ崎市本村4-20-23         TEL:0467-54-0799     北陸訓練所)〒930-01 富山県富山市北代田渕395 TEL:0764-34-3473  財団法人 日本盲導犬協会は、日本で初めての盲導犬育成団体として厚生省の認可のもと、昭和42年に設立されました。ただ、施設建設のための土地を確保できないままのスタートだったため、現在神奈川県茅ヶ崎市に位置する訓練所も、6年前に東京都小金井市から移って以来仮住まいが続いています。しかし、ようやく今後 2年計画で、横浜市に千坪規模の訓練施設が建設されることになり、協会設立以来の悲願が達成されようとしています。  当協会の訓練の特徴は犬の適性を重視することです。そのため仔犬の頃からの性格づくりには力を入れており、毎月「しつけ教室」を開催し、パピーウォーカーと仔犬に一緒に参加していただいて指導を行っています。  また、盲導犬を持ちたくても、4週間もの間自宅と仕事を離れて、訓練所で共同訓練を受けることが難しい、という視覚障害者のために、現地で出張訓練サービスも行っています。  さらに、視覚障害者が盲導犬と共に暮らしやすい環境づくりにも力を入れており、社会一般への啓発活動も盲導犬の育成・視覚障害者の歩行指導と並んで、当協会の重要な事業となっています。  現在委託契約を結んでいるのは山梨県と横浜市ですが、それに限らずできるだけ多くの方に質の良い盲導犬を提供し、視覚障害者の社会参加の促進を図るのが当協会の活動の主旨となっています。 財団法人 アイメイト協会 〒177 東京都練馬区関町南2-22-7 TEL:03-3920-6162  FAX:03-3920-6063  1957年 8月に、試行錯誤の末、国産盲導犬第 1号の『チャンピイ』を誕生させた塩屋賢一は、日本盲導犬学校として盲導犬育成に努力を続け、1971年に私財を投じて、「財団法人 東京盲導犬協会」を設立しました。  盲導犬が当初“獰猛犬”と聞き違えられた時期もあり、日本警察犬協会・日本シェパード犬協会・日本警備犬協会など既存の協会のように、犬種登録団体と誤解されることも多く、電話口で「東京盲導犬協会です」と応えると「東京モード研究会?」聞き返されたりしましたが、1989年 4月 1日に『財団法人 アイメイト協会』と名称が変わりました。「犬」ではなく、「視覚障害者の眼」であり、アイメイト協会が目指すのは、盲人更生援護の一環であるからです。  アイは Eye 目、アイは I 私、アイは愛 Love、  アイメイトは、私の愛する、目の仲間 と言う意味です。  アイメイト協会の標榜するところは、視覚障害者が、人の手を借りずに、好きな時に、好きな所へ、安全に、スピーディーにアイメイトと共に移動する。つまり、歩行の自由を得ることによって、行動範囲を広げ、障害に負けずに、社会参加されるようにお手伝いすることです。  モットーは、「視力はなくても、心の視野の広い、明るく、積極的な社会人になりましょう」と言うことです。  現在、アイメイト協会は年間に35〜36名の卒業生を送り出しています。 9月20日現在の卒業生総数は632名です。  使用者は「アイメイトは、親子でも兄弟でも夫婦でもないけれど、なくてはならない存在です」と表現し、常に「私達二人」とさり気なく言います。 「今が私の青春です」、「アイメイトが私の人生を変えた」、「私の目は左膝の所にある」、「アイメイトを亡くして、再び失明したと感じた」と言う言葉に、アイメイトが視覚障害者にとってどれだけ重い存在であるかを痛感し、より良いアイメイト作りに一層の努力を続けています。     トラブル後の対応は?      −盲導犬使用者がバスを利用しようとしたとき起きたこと−  「盲導犬を連れた盲人の乗合バス乗車について」という通達が、1978年 3月27日に運輸省から出され、その後、1986年 2月19日には取扱い基準の一部を変更した通達が出されています。「盲導犬を連れた盲人の乗合バス乗車の機会が多くなっていることに鑑み、今後下記の基準で運用することとしたので、この取り扱いについて円滑な実施を図るとともに、盲人の乗合バス乗車について車内放送、掲示等により安全かつ円滑な輸送の確保について周知徹底に努めるよう」に要請する内容で、取り扱い基準として「盲導犬であることの証明書を携帯し、盲導犬にハーネスをしていること」などのいくつかの条件を挙げています。通達が出されてから16年たった現在、バスや電車などの公共交通機関では、盲導犬を使用していても比較的スムースに利用できているのが現状ではないでしょうか。  ところが、7月24日の朝日新聞(大阪版)に「盲導犬を断わるバスの不見識」という読者の投書が掲載されました。大阪市営バスから下車しようとした盲導犬使用者に対して、そのバスの運転手が「バスに動物を乗せてはいけない」と怒った口調で言った、盲導犬を唯一の頼りにしている人はバスに乗るなということなのだろうか、といった内容の抗議の投書でした。8月 3日には、その投書を読んだ他の読者からの投書が 2件掲載されました。大阪市内のタクシー運転手の方は、「同じ旅客を運送する仕事をしているものとして恥ずかしく思いました」「投稿者のような場面に出くわした方は運転手さんに言ってあげて下さい」と書いています。高知県の女性は、「盲導犬を拒否するということは、目の不自由な方を拒否することであって、そんな理不尽なことがあってよいものか」と書いておられます。その後、8月10日に大阪市交通局の運輸課長名で「盲導犬拒否におわび」という記事が載りました。「市交通局のバス運転手が誤った取り扱いをしたことに対して、紙面をお借りして、深くおわびします」「二度とこのようなことがないよう、職員の指導、教育を徹底しましたので、今後も、安心してバス・地下鉄・ニュートラムをご利用いただきますようお願い申し上げます」とのことです。  この一連の記事が掲載された直後、山口県の「盲導犬情報」読者から盲導犬情報室に手紙が来ました。7月末のある日、大阪空港から新大阪駅まで、大阪空港交通鰍フバスを利用した際、運転手が大声で「一般の乗客に迷惑がかかるから別の車に乗せなきゃいかん」と言ったというのです。乗り場の案内係の人の「盲導犬だからいいのですよ」という言葉にも関わらず、運転手は一般客に迷惑がかかるので障害者は乗せてはいけない、という内容のことをさかんに言っていた、とのこと。一緒に旅行をしていた人たちが既にこのバスに乗っていたことから、降りたい気持ちを押さえてバスに乗り、降りるとき「ご迷惑をおかけしました」と頭を下げても、運転手からは何の反応もなかったそうです。  これらのトラブルは、バスに乗れなかったわけではないですが盲導犬を理由にスムースなバスの利用が出来なかった実例です。こういった事態を「乗せる側の人たち」はどう考えているのでしょうか。「二度とこのようなことがないよう」という言葉はよく聞きますが、一体そのためにどのような対処をされるのでしょうか。こういったことが繰り返されないためにも是非知っておきたいと思い、「盲導犬使用者のバス乗車に対する会社としての方針」「乗務員に対する指導内容」といったことについて、盲導犬情報室から大阪空港交通鰍ノお尋ねしてみました。  手紙を出してすぐ、電話と文書でお返事をいただきました。今回の例は、そのバスに乗った日時、行き先、状況が非常にはっきりしていましたので、会社の方でも乗務員を特定できたようでした。まず、盲導犬使用者がバスを利用することに対する会社としての方針ですが、これは「盲導犬を連れた盲人の乗合バス乗車について」の通達に基づいた運用を実施しており、今後も継続する予定である、とのことでした。また、今回のことから「再度運用現場における周知徹底を図るべく、運用内容を社内通達により掲示」したそうです。次に、乗務員に対する指導についてですが、秋に予定している安全講習会・年 2回程度開催予定の定期的乗務員研修会に「障害者及び盲導犬に関する接遇講習」を実施することに決定した、とのことでした。  どのような内容の講習になるのか、具体的なことは明記されていませんでしたが、是非実のある内容の講習を継続的にお願いしたいものです。「喉元過ぎればなんとやら・・・」では困りますから・・・。     盲導犬の需要等に関する調査報告(3)       =盲導犬使用を考えている人、いない人=  現在の歩行方法に「満足していない」と答えた人で、「過去に盲導犬を使用することを考えたことはないし、現在も考えていない」「過去に考えたことがあるが、今は考えていない」と、盲導犬を使用することに否定的な人は69名でした。アンケート回答者の12.6%でしかないのですが、今回は、この人たちを中心に、また、現在の歩行方法に満足しているにしろ、いないにしろ、盲導犬を使用することを肯定的に考えている125人と比較しながらアンケート結果をみていき、「盲導犬の需要等に関する調査報告」は今号でひとまず終わりにしたいと思います。 1.回答者のプロフィール  現在の歩行方法に満足していないが盲導犬使用については否定的に考えている69名の回答者(以下否定グループという)の年齢は、20才代13.0%、30才代15.9%、40才代30.4%、50才代18.8%、60才以上18.8%となっており、これは全体の比率と比べて大きな差はない。「できるだけ早く」あるいは「将来、盲導犬をもつ上で障害となることがあるので、将来それが解決したときに」盲導犬を使用することを考えている125名の回答者(以下肯定グループという)では、否定グループに比べると、50才代が22.4%とやや多く、60才以上が16.0%とやや少ない。  障害等級は、否定グループでは、4・5・6級と答えた人はおらず、1級81.2%、2級11.6%、3級2.9%であった。全回答者の中で1級の人の占める割合は67.2%となっており、それに比べると多くなっている。一方、肯定グループも1級は87.2%と多く、2級以下は少ない。  「視覚以外に障害のある部位はありますか?」という質問では、「ある」と答えたのは否定グループで24.6%と、全体に比べるとやや少ないくらいである。肯定グループでは30.4%とやや多くなっている。否定グループで、一番多くあげられたのは、内部障害で41.2%、聴覚障害35.3%だった。肯定グループでは、平衡機能障害34.2%、内部障害31.6%となり、聴覚障害は23.7%と全体より少なくなっている。  現在の健康状態について尋ねると、否定グループでは「病気がちである」と答えた人は18.8%で全体に比べるとやや多くなっている(全体では13.5%)。肯定グループでは「ふつう」と答えた人が多く59.2%、全体では49.2%となっている。 2.現在の歩行方法について  「単独歩行の場合に使用する補助的手段は何ですか?」という質問に対して、どちらのグループも、「何も用いない」と答えた人は少なく(否定グループ10.1%、肯定グループ 7.2%)、「その他」や無回答だった人の比率が、全体と比べると多かった。白杖使用者は、否定グループでは73.9%と全体とほぼ同じぐらいの比率となったが、肯定グループは80.8%とやや多かった。  次に、その歩行方法を選んだ理由を尋ねると、否定グループで全体に比べて少なかったのは、「自分に適している」(13.0%)で全体の半分以下になっている。多かったのは、「特に理由はない」(43.8%)、「人から勧められた」(21.7%)、「他の方法では困難が多いから」(17.4%)であった。また「人から勧められた」と答えた人に対して、「それはどのような立場にある方でしたか?」と尋ねたところ、最も多かったのは「福祉事務所の職員」、ついで「家族」、「福祉施設や団体の職員」となった。肯定グループでは、全体に比べて少なかったのは、やはり「自分に適している」(17.6%)となっている。また多かった理由としては「特に理由はない」(28.8%)、「他では困難が多いから」(24%)、「人から勧められた」(21.6%)となっている。人から勧められた人に対して、どのような立場の人に勧められたのかを問うと、「福祉施設や団体の職員」が40.7%と多いほか、「視覚障害を持たない友人」、「家族」と答えた人が全体に比べて多く、「福祉事務所の職員」「視覚障害者の友人」を選んだ人が少なかった。 3.外出の状況  外出の頻度について尋ねたところ、両グループとも「ほぼ毎日」と答えた人は半分以下で、全体に比べると少ない(全体では56.7%)。逆に「週に2〜3回」と答えた人は3割前後になっており、全体より多い(全体では23.0%)。  外出の範囲については、否定グループで「自宅の周辺だけである」(13.0%)、「特定のルート、場所だけである」(33.3%)と答えた人の比率が全体に比べると多く、「行きたいところ、行く必要があるところはどこへでも出かける」(53.6%)と答えた人は少なかった(全体では63.5%)。肯定グループでは、「自宅の周辺だけ」10.4%、「どこへでも出かける」57.6%と、ちょうど否定グループと全体の中間になっている。「特定のルート、場所だけ」と答えた人は34.4%と、否定グループとほぼ同じになっている。  こういった現在の外出状況の満足度について尋ねると、「たいへん満足している」と答えた人は否定グループにはおらず、肯定グループでも2.4%と大変少ない(全体では7.5%)。「まあまあ満足している」「ふつう」と答えた人も全体より少なく、「あまり」あるいは「まったく満足していない」と答えた人は、否定グループで56.5%、肯定グループで43.2%となった(全体では25.2%)。 4.盲導犬についての考え方  「盲導犬に関心がありますか?」という質問では、否定グループは、「多いにある」(13.0%・全体では25.9%)、「少しある」(53.6%・全体では35.0%)、「ない」(10.1%・全体では18.1%)となり、「関心がないこともないけれど・・・」という感じの人が多いことがうかがえる。肯定グループでは、「多いにある」(55.2%)、「少しある」(32%)となっており、やはり「ない」と答えた人は少ない(4%)。  次に、盲導犬を使用する可能性について、「現在の歩行方法に満足していない」と答えた人の内、「過去に考えたことがあるが、今は考えていない」と答えたのは25.7%で、全体の比率とは大きな差はないが、「過去に盲導犬を使用することを考えたことはないし、現在も考えていない」と答えたのは24.3%で、全体の比率に比べると半分に近い。  過去に盲導犬を使用することを考えたことのある人に、考えが変わった理由を尋ねると、一番多いのは、「交通環境が厳しく、盲導犬を使用しても単独歩行は困難と思うようになった」(30.6%)で、これは全体の比率よりも多い。また全体に比べてその比率がやや多かったのは「盲導犬についての情報が増えるにつれ、盲導犬に対する評価が変わった」というもので、13.9%(全体では9.3%)だった。  過去も現在も盲導犬を使用することを考えたことがない人に、その理由を尋ねると、一番多いのは「白杖で十分に行動できるから」というものだが、そう答えた人は20.6%で、全体の36.0%と比べるといかにも少ない。逆に全体と比べて多かった理由は、「犬が嫌いだから」(17.7%・全体では13.4%)、「盲導犬の飼育に手間と費用がかかるから」(11.8%・全体では8.8%)、「犬は信頼できないから」(5.9%・全体では1.4%)となっている。 5.まとめ  視覚障害を補って安全に歩く方法として、白杖や盲導犬、電子機器そして晴眼者の手引きといったものがあり、視覚障害者自身の状態、環境等によって、どういった方法が適しているかは違ってくることは、今までにも述べてきた。盲導犬という歩行補助手段がすべての需要を満たすわけではない。また、白杖や晴眼者の手引きを自分の歩行補助手段として選び、活用している視覚障害者にとって、盲導犬という方法を選ぶ必要性は低いかもしれない。しかし、一方で、現在使っている歩行手段に満足していない視覚障害者も少なくないことがわかった(このことは、盲導犬使用者も決して例外ではない)。  そこで、一つの例として、現在の歩行手段に満足していないが盲導犬の使用は否定的に考えている人に、何らかの傾向がないかと考えてみた。「白杖で十分だから」「補助的手段を必要としていないから」という人もいるが、「犬が嫌い」「盲導犬の飼育に手間と費用がかかる」「犬は信頼できない」といった答えを選んだ人が全体に比べてやや多いことから、盲導犬を歩行補助具としてではなく、犬という生き物としてとらえた考え方がネックになっているように思う。  「犬を連れて来ては困る」と、飲食店や宿泊施設、タクシーなどの利用を拒否されたという話を盲導犬使用者から聞くことは決して少なくないが、これは単に晴眼者が盲導犬や視覚障害を理解していないゆえの言い分とばかりも言えなさそうである。     盲導犬情報ボックス   日本の盲導犬使用者数  社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会リハビリテーション部会盲導犬委員会の「平成 5年度盲導犬訓練施設年次報告」を参考にして1994年 3月31日現在の日本の盲導犬使用者数を出すと、次のようになりました。 北海道−74名  青森県− 6名  岩手県− 4名  宮城県− 3名  秋田県− 8名 山形県− 2名  福島県−10名  茨城県−24名  栃木県−21名  群馬県−11名 埼玉県−31名  千葉県−16名  東京都−73名  神奈川県−37名  新潟県−10名 富山県−13名  石川県−16名  福井県− 4名  山梨県− 7名  長野県−43名 岐阜県−14名  静岡県−29名  愛知県−37名  三重県−14名  滋賀県− 2名 京都府−26名  大阪府−35名  兵庫県−28名  奈良県− 9名  和歌山県− 8名 鳥取県− 0名  島根県− 1名  岡山県− 8名  広島県−23名  山口県− 8名 徳島県− 6名  香川県− 9名  愛媛県−10名  高知県− 7名  福岡県−54名 佐賀県− 8名  長崎県− 7名  熊本県−15名  大分県−12名  宮崎県− 8名 鹿児島県−16名  沖縄県− 2名 総数−809名 《盲導犬頭数ではなく使用者数にした理由》  「いま日本に盲導犬は何頭いるでしょうか?」という質問を受けることがよくあります。しかし、盲導犬の数を数えることに何か不自然なものを感じませんか?  例えば、白杖は盲導犬と同様、視覚障害者の歩行補助具の一つですが、「いま日本に白杖は何本あるでしょうか?」という質問を聞くことはまずありません。白杖を使って歩いている人はどれくらいいるのか、と考えるのが普通でしょう。そして、このことは「盲導犬」についても同じようにいえることなのではないでしょうか。  また、これにはもう一つの理由があります。いま日本では、ご夫婦で1頭の盲導犬を使って生活されている方が24人いらっしゃいます(広島県 4組、北海道・京都府 2組、三重県・大阪府・兵庫県・熊本県 1組)。つまり、盲導犬の数と使用者の数は必ずしも一致してはいないのです。  そこで今回は、どれだけの人が使っているのか、という視点を大切にしたいと思い、あえて盲導犬の頭数ではなく、使用者数としてみました。こういった考え方について、読者の皆さんはどのように思われますか?皆さんのご意見をお聞かせ下さい。  ちなみに、それでもやっぱり盲導犬の実働数を知りたいという方、ご夫婦の数を総数から引いて下さい。盲導犬の数になります。     全日本盲導犬使用者の会準備会からのお知らせ  盲導犬使用者および盲導犬を希望している皆さんの手元に、各出身協会あるいは申し込んでいる協会から「全日本盲導犬使用者の会」発会のお知らせは届いていますか?「盲導犬情報」第2号でご報告しましたように、全国の盲導犬使用者および盲導犬希望者の皆さんが親睦と交流を深め、盲導犬と共に暮らし易い社会を創るために、この度、「全日本盲導犬使用者の会」が発会することになりました。  11月23日(祝)に東京の戸山サンライズに於て、全日本盲導犬使用者の会発会記念大会が開催されます。大会では、盲導犬の現状と課題をテーマに記念シンポジウムがもたれる予定です。参加申し込みの期限は10月31日までですので、大会参加ご希望の方はできるだけ早く、また、入会希望の方も全日本盲導犬使用者の会準備会までお申し込み下さい。 連絡先:全日本盲導犬使用者の会準備会・清水 和行     〒732 広島市東区戸坂くるめ木1-2-5     電 話 082-220-3917     編集後記  盲導犬情報室に少しずつではありますがお便りが届くようになり、とても喜んでいます。多くの方が知りたいと思っている情報を提供する、という役割を果たすにはまだまだの情報誌ですが、今後ともよろしくお願いします。  ところで、1月発行予定の次号では、学校や地域の行事など、晴眼者に対する盲導犬や視覚障害、福祉といったことへの啓発活動について特集したいと考えています。盲導犬使用者の中には、そういった場で講演を頼まれる方も少なくないのではないでしょうか。そういったことに関するご意見や体験談などありましたら、盲導犬情報室までお寄せ下さい。