身体障害者補助犬法に関する意識調査結果(調査実施・まとめ・分析:財団法人日本盲導犬協会) 完全施行以後、半数以上が同伴拒否を経験
1年前の調査結果と比較 ・・・ 社会的な安全に対する不安が補助犬法にも影響?
盲導犬、介助犬、聴導犬の“身体障害者補助犬”同伴受け入れを義務づけた身体障害者補助犬法は、2002年5月に成立し、2002年10月に公的機関に施行されました。2003年10月には、ホテルや病院などの民間施設へも施行され、完全施行が始まりました。
財団法人日本盲導犬協会では、2004年10月1日に法律の完全施行開始から1年を迎えることを踏まえて、盲導犬ユーザー(使用者)、一般市民の皆さんにご協力いただき、「身体障害者補助犬法に関する実態・意識調査」を実施いたしました。
(以下、「身体障害者補助犬法」を省略して「補助犬法」と表記している場合があります。)
完全施行以後も半数以上が同伴拒否を経験 (同伴拒否経験率は増加)
盲導犬ユーザー(使用者)に対する調査では、「補助犬法の完全施行以後に、盲導犬の同伴を断られたことがある」と回答した盲導犬ユーザーが、52%に達しました
。昨年2003年9月に実施した同様の調査では、「2002年の法律の施行以後、同伴を断られたことがある」と回答した盲導犬ユーザーは、44%でしたので、法律が完全施行されたにも関わらず、同伴を断られるケースが多い実態が明らかになりました。
同伴を断られた場所としては、飲食店が62%と最も多く、次いでタクシー(15%)、旅館(13%)、個人病院(13%)が挙げられました。
同伴を断られた理由としては、「他の利用客が嫌がるから」が48%、次いで「衛生上の不安や問題があるから」(31%)、「店の方針だから」(27%)、「ペットの入店は不可だから」が27%という結果になりました。同伴を断られた場所として多く挙げられた飲食店・タクシー・旅館・については、昨年と大きな変化はありませんでしたが、総合病院のポイントは大きく減少しました。昨年の調査では、17%の方が総合病院を挙げたのに対し、今年の調査では最低ポイントの2%(JRの0%を除く)になり、総合病院が補助犬の受け入れに積極的に取り組んでいることが明らかになりました。定期的に病院に通う盲導犬ユーザーが多いため、病院での受け入れが進んだことは盲導犬ユーザーにとって大きな進展であると言えます。当協会も盲導犬受け入れについて、病院からの多数の問い合わせに対応しました。
「補助犬法完全施行以降、盲導犬の受け入れに関する社会の理解は進んだと感じますか。」という質問に対しては、66%の盲導犬ユーザーが「進んだ」と回答しました。
昨年の調査では、「進んだ」と回答したのは40%でしたので、「理解が進んだ」と感じている人の割合は大幅に増えました。同伴拒否経験率は上昇していますが、盲導犬を取り上げたテレビドラマや映画の影響もあるのか、社会全体としては理解が進んでいると感じている人が多いことが分かりました。
一般市民の皆さんの補助犬法の認知度は飛躍的に上昇
社会的な安全に対する不安が補助犬法推進にも影響するマイナス面も?
「補助犬法が施行されたことを知っている。」と回答した人は46%で、昨年の32%と比較すると14ポイントも上昇しており、補助犬法の認知度は大きく向上していることが分かりました。
盲導犬ユーザーが同伴を断られた理由として「他の利用客が嫌がるから」が挙げられる一方、他の利用客である一般の皆さんの84%が、「補助犬を受け入れることに賛成」と回答しています。昨年の同期の調査では、「賛成」と回答した方が95%でしたので、補助犬法の完全施行が始まったのにも関わらず、一般の皆さんの意識は受け入れに対して若干消極的になっていることが分かりました。不安や心配な事柄としては、「犬の毛などで汚れる」(31%)、「人畜共通感染症」(24%)、「犬アレルギー」(23%)が挙げられました。昨今の狂牛病や偽装表示問題などに伴い、安全や衛生に関する社会的な不安の高まりが、補助犬の受け入れに関する不安にも結びついているのではないかと感じています。
補助犬受け入れに賛成の理由としては、「身体障害者の社会参加を守ることが大切だから」が83%で最も多く挙げられました。昨年同期の調査では、50%でしたので、「身体障害者の社会参加を守る」という意識が広まっていることは注目すべきポイントです。
今回の調査は、東京都、神奈川県、宮城県(仙台市)で実施しました。関東と東北の地域別に分析すると、補助犬法の完全施行については知っていたのは、関東47%、東北44%、補助犬の受け入れに賛成の人の割合は、関東86%、東北82%と大きな差は見られませんでした。
補助犬法をさらに推進していくためには
「補助犬法により多くの理解を得るために必要なものは?」という質問に対して、盲導犬ユーザーの91%が「ユーザーのマナーの徹底」を挙げており、盲導犬ユーザーは、マナーや盲導犬の健康管理に対する意識が非常に高いことが明らかになりました。一般的に5割を下回っていると言われている狂犬病の接種も未回答者1名を除く全員が狂犬病の予防接種を徹底しており、人畜共通感染症予防のための混合ワクチンの接種もきちんと行われています。一方、ノミ・ダニの予防・駆虫対策については、「気を付けている」と回答した盲導犬ユーザーは78%でした。法律においてノミ・ダニ対策に関する規定はありませんが、盲導犬が社会に受け入れられていくためにはノミ・ダニ対策についても意識を高めていく必要があるのではないかと考えています。
日本盲導犬協会では、「身体障害者補助犬法推進シンポジウム」の実施や、企業の盲導犬受け入れに関するセミナーへの職員の派遣、学校でのデモンストレーションや講演など、補助犬法や盲導犬の受け入れについて積極的な普及活動を行ってきました。
また、「補助犬法SOSアドレス」を設置し、補助犬受け入れに関する皆さんからの不安や疑問にお応えしてきました。
今回の調査では、「補助犬法の理解が進んだ」と6割以上の盲導犬ユーザーが感じているのにも関わらず、半数以上が同伴拒否を経験しているという、相反する結果が得られました。また、一般市民の皆さんを対象にした調査でも、補助犬法の認知度が飛躍的に向上しているのにも関わらず、受け入れに対して消極的になっていることが分かりました。安全や衛生に対する社会的な不安の高まりが、盲導犬受け入れ側の不安や心配にも結びつき、同伴拒否の原因になっているのではないかと分析しています。
今後は、盲導犬の役割や受け入れ方法などに関する積極的な啓発活動とともに、盲導犬の健康・衛生管理について、皆さんに理解していただき、補助犬に関する不安を取り除いていくことが、補助犬法の施行をさらに促進するがポイントになるのではないかと分析しています。
「補助犬法SOS」は、引き続き設置しています。
hojokenhou-sos@moudouken.net
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